2017.05.11
午前、研究室でパソコンを開くと、壊れていた。
昨日の夜まで使ったのに、そのときはなんとも異常はなかった。
思わぬ自体に慌て、サービスセンターに駆け込んだ。
結果は、3万ウォンの出費で初期化だった。
大事なデータはほとんどUSBにあるから、大きな損害はなかったとはいえ、非常にぐったりしてしまった。
数年に1度あるような出来事が、ここ数ヶ月にギュッと凝縮されているようだ。
発表ファイルが飛んでいったり、携帯が急に壊れたり、電子機器のトラブルが続いている。
電子機器がないとなにもできない時代に生まれてしまったことを、思わず嘆いてしまいたくもなる。
精神的にも身体的にも疲れてしまったけど、まぁ新しい一歩だと思って。
みんなにも言われたけど、期末のときや論文学期のときでなくて、本当によかったと思う。
今週末もバタバタするなぁ。
一歩進んで二歩下がる毎日がもどかしいけど、いつか進むと信じて。
2017.05.09
大統領選挙で荒れる、本日の韓国。
喧騒を避け、静かなカフェで本を読んで過ごした。
この歳になると、身内と政治思想が合わないことの切なさを思い知る。
まぁ、しょうがないんだけど。
- 作者: 島本理生
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2008/02
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 29回
- この商品を含むブログ (87件) を見る
今日読んだのは、島本理生さんの『ナラタージュ』。
言わずと知れた代表作で、映画も公開される。
個人的に、この作品は私の趣向とは合うわけではないけれど、それでも文字から放たれるエネルギーには圧倒される。
島本理生さんの「痛々しさ」「切実さ」「不安定さ」といった作風が、分かりやすく反映されていると思われる。
葉山先生のことも、小野くんのことも、私は彼らの弱さを許容することはできない。
彼・彼女の痛々しさは、そこに引っぱられすぎてつらくなる。
でも同時に、この弱さこそが魅力的に映って惹かれてしまうんだろうな、と悟ったように思った。
私はこの作品のような、心と身体が擦り切れるほどの恋をしたことがないが、読みながら過去の記憶に引っぱられていった。
いちばん最後にすきだった人は、清潔で一見安定した好青年だったのだけど、彼を知る過程でその実かなり不安定で繊細な人であることを知った。
私はそのことで幻滅をしなかったが、自分の弱さに敏感なのは彼自身で、彼はそれを許せずにいた。
今思うと、同じエネルギーの好意で返されなかったとしても、手を伸ばすような言葉をかけることができたのではなかっただろうか。
こんなことを思っても、あのときの私は自分の気持ちを扱うので精いっぱいで、結局自分のことしか見れてなかったんだろうな。
はっきりと言えるが、私はこのときの恋心に未練はない。
あまりにも気持ちのバランスが合わなかったし、見ていた方向もまるで違ったのが、はっきりとわかったからだ。
それでも、私が彼に惹かれていたことは紛れもない事実だし、それを肯定的に捉えられるような、そんな作品だった。
登場人物の自己陶酔っぷりを見ながら、過去の自分を思い出して赤面したくなる。
この作品が愛される理由もわかる。
なんだか、内面のことを詳細に書くことは慣れていたし抵抗もないけれど、恋愛に関して(ぼんやりとだけど)書くのは初めてで、文字を叩く指が少し躊躇してしまった。
私は自分でも惚れっぽい性格だという自覚があるんだけど、そんな私が1年以上「気になる異性」がいないのが新鮮だ。
生活に刺激やときめきがなくてつまらないなという気持ちもあるけど、そういう存在に引っぱられない時間も必要なのだろう。
まぁ頭でわかっていても、恋愛小説に触れると恋愛したくなる気持ちになるのだけど。
うん、気軽に待つよ。
2017.05.08
神様が大地と水と太陽をくれた
大地と水と太陽がりんごの木をくれた
りんごの木が真っ赤なりんごの実をくれた
そのりんごをあなたがわたしにくれた
やわらかいふたつのてのひらに包んで
まるで世界の初まりのような
朝の光といっしょに何ひとつ言葉はなくとも
あなたは私に今日をくれた
失われることのない時をくれた
りんごをみのらせた人々のほほえみと歌をくれた
もしかすると悲しみも
私たちの上に広がる青空にひそむ
あのあてどないものに逆らってそうしてあなたは自分でも気づかずに
あなたの魂のいちばんおいしいところを
私にくれた谷川俊太郎
「魂のいちばんおいしいところ」
メンタルがどん底のときに、ただ私が話す言葉を静かに聞いてくれた。
泣くことを許してくれた。
魂のいちばんおいしいところを受けとった。
谷川俊太郎さんのこの詩こそ、私の知る愛の美しい姿だ。
温かくて眩しい詩。
今日はこの言葉のような、温かくて眩しい言葉を受けとった。
いろんなことはあるし、私はきっとこれからも負け続けて、メッタメタに落ちこむであろう。
そんな私にも、一筋の光どころか、太陽のような言葉をもらった。
負け続けても、がんばります。
2017.05.04
昨日はちょっぴり遠出をした。
ソウルから出たのはいつぶりだろう。
まじめに考えると悲しくなるけど、たぶん学期始まって以来初めてなのかな。
ソウルを出るのも一苦労。
友達と目指したのは、ソンド(松島/송도)という開発都市で、仁川空港の近く。
国が投資して開発を進めているのは知っていたけど、行ってみたら期待以上に良くて驚いた。
特に気に入ったのは、セントラルパークという大きな公園。
かなり大きくて、一周ぐるりとしただけで友達もわたしもぐったりした。
今調べてみたら、東京ドーム9個分の大きさらしい。
そりゃぐったりするか。
都市の中に自然がたくさんあって、とにかく癒された。
友達ともたくさんのことを話したし、何より一日中リラックスした状態で日常から抜け出せて本当によかった。
公園でたくさん写真も撮ったのだけど、久しぶりのフィルムで撮ったので、写真は手元にまだない。
現像にもっていくのも、待つのも楽しみだ。
ようやく、連休らしい一日を過ごせたのかな。
家の近くにも、自然に囲まれた公園があればいいのに。
なによりも、ソウルの空気さえ良ければ。
気のせいでも大げさでもなく、ソウルに戻ってきたとき、咳が止まらなくなった。
2017.05.02
連休中も元気に登校。
相変わらずの空気の悪さにぐったり。
今日はひたすら本を読んだ。
同時進行でがつがつ本を読むのが久しぶりで、最近は全然勉強ができていないことを体感した。
- 作者: クリストファー・ラッシュ,石川弘義
- 出版社/メーカー: ナツメ社
- 発売日: 1981/02
- メディア: ?
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
教授に勧められて、クリストファー・ラッシュに手を出した。
人類学は、精神分析学とも関わりが深くて、大学院に入ってからよく読むようになった。
ここでいう「現代人」は、80年代のアメリカ人のことを指しているんだろうけど、今にも適用できる部分が多くて、まだ途中だけどおもしろく読んでいる。
精神分析学とか心理学の本を読んでいると、改めてフロイトの功績を思い知る。
授業で読んでいた本で、「ナルシシズム」についての文脈があったけれど、他の分野でもナルシシズムについて触れることが多い。
「自己愛」と訳されたり、「自己承認欲求が強く、他人に関心のない人」と認識されがちだけど、ナルシシズムを拗らせている人って、誰よりも自分のことを愛せない人なんだよなぁ。
自分が愛されなかった記憶の悲しみと、その対象に対する憎しみの罪悪感を消すため、自分を責めるという行為も、ナルシシズムの二元的な現れだ。
個人対個人の関係が薄れ、より自分に集中するような今の時代は、この著書の時代よりもナルシシズムを患っている人が多いんだなと思うけど、ラッシュが『程度の差はあれ、誰もがナルシシズムを患っている』というのはおもしろいと思った。
こういう話って、セラピストじゃないと直接聞く機会がないよなぁ。
インタビュー重ねながら、言葉の文脈から分析することはできても、こういう話を聞けたら良いのにと思うけど、じゃあ自分は話すのかと聞かれたら、それはまた別の話か。
まぁ、その分、ここで好き勝手に書いているけれど。
『自分の感情を昇華させることができないと、よりナルシシズムを強化させることになる』ともいっていたけれど、私にとってはまさにここで書くことが、感情を昇華させる方法の一つなんだなと。
- 作者: アルジュン・アパドゥライ,藤倉達郎
- 出版社/メーカー: 世界思想社
- 発売日: 2010/06/13
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 17回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
そろそろ期末の理論の枠組みを始めなくては、と手に取った本。
前学期、アパデュライの<Modernity At Large>は読んだけれど、これはそのあとに出た著作。
Modernity At Largeのときも、5つのスケイプを用いてトランスナショナルを捉えたのがおもしろかったけれど、これはそれを補足しつつ、「マイノリティ」の方に注目している。
特に、テロリズムを代表する「暴力性」の正体はなんなのか、ていうのが全体のテーマなのかな。
私の研究テーマは、「トランスナショナリズム理論」を大きい土台にするつもりなので、切っても切れないのがアパデュライのトランスナショナリズム理論。
前学期までは、ナショナリズム理論を中心に見てたけど、やっぱりそれだけじゃ無理そうだと実感。
なんとか消化して、自分の言語で語れるようになるといいけど。
本自体はおもしろいし、内容も自分の関心分野だから、さらさらと読める。
そしてここでも「ナルシシズム」が登場。
マイノリティ・マジョリティの緊張関係とナルシシズムの衝突による考察は、なるほどと思った。
- 作者: 朝井リョウ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2014/04/10
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (5件) を見る
まだ読み終わってないけど、この空気感がどうしようもなく懐かしいと思った。
「群馬」「高円寺」「中野」とかいう地名も、私にとってはどうしようもないノスタルジーだ。
朝井リョウは、言語化されない空気感を文字にするのが上手いと思う。
今作は、いわば大学生版の桐島って感じがする。
楽しすぎる瞬間は、真っただ中にいるとなぜか泣きたい気持ちになる。両手で抱えきれないこの幸福は、早く過ぎてしまって思い出になってほしいと思う。
今が大事だってわかっているからこそ、この感情に共感してしまった。
いっそう早く思い出になってくれ!と叫びたくなる多幸感も。
2017.05.01
世間は連休の中、我関せず登校。
授業があったからだ。
まぁそれでも、今週は水曜日の授業がないので、わりとのんびりできるのかな、と予定をちょくちょく入れたけれど、思ったよりもやることが多い。
来週は発表もあるし、結局スキマ時間にちょこちょこやらなきゃな。
ソウルは天気が良いけれど、相変わらず空気が悪い。
思いっきり外で遊びたいけれど、それもちょっと不可能。
研究室の何人かと、学校の外に出て夕飯を食べて、カフェで話して。
こういう時間が久しぶりのように思えたし、新入生とこういう時間をもつのは初めてだった。
とても良い時間だった。
時間を忘れるくらい、たくさんのことをしゃべったし、自分の考えが思ったよりも整理できた。
勉強の話も、それ以外も。
昔は、「私はこの研究室に馴染むことはできないんだろうなぁ」という確信があったけれど、1年以上が過ぎた今の自分が驚きだった。
なんだ、ちゃんと馴染んでるじゃん。
あと、改めて人と話すことの意義を感じた。
人間らしい心のために、やっぱり人との触れ合いって大事だ。
「たぶん私たち、期末のとき今のこういう時間を羨ましく思うよ」という言葉に笑いつつ、激しく同感した。
期末まであとひと月。
そう考えると時間がない。
つらいことから逃げたくなるけれど、グッと耐えて、ちゃんと向き合わなきゃ。
きっとこういう記憶が、後の私を照らす光になるかもしれないんだから。
にしても、天気が良くて、気持ちもそれに引っぱられるように明るくなる。
良い一日だった。
幸先の良いメーデーのスタート。
2017.04.29
最近はマイナスの感情に引っぱられっぱなしだったけど、なんとか持ち直した。
昨日はいろんな人と、本当にいろんな話をした。
思いがけず、深い話を共有したし、私もいろんな感情をさらけ出した。
私はこんなことを考えてたのか、と自分でも驚いた部分もあった。
この人は、私の知らないところでこんなことがあったのか、こんなことを考えていたのか、と感心したり、感情移入したり、情緒が忙しかった。
当たり前だけど、私は他人のことをよく知らないし、他人は私のことをよく知らない。
そんな当たり前なことをよく忘れて、私が知っていることが全部であるかのように振舞ってしまう。
うん、やっぱりここで諦められない。
あと私は人と話すことがすきだ。
それは心地よいことばかりではなくて、刺激が強かったり、思ったようにいかないけれど、でも誰かと思わず感情が重なって、泣きたくなるほどうれしくなるときもある。
投げ出さなくてよかったし、これからも投げ出さずにがんばろうと、意志をまた再確認した。
今日はいとこの娘(って日本語でなんていうんだろう?未だに日本語での親戚の関係がよくわからない)が1歳の誕生日で、そのお祝いに駆けつけた。
韓国では돌잔치といって、盛大にお祝いをするのだ。
日本でもこういう行事があるのだろうか?
父方の家系では、いとこの中で私がいちばん末っ子で、6人いるいとこの中で3人はもう結婚して子どももいる。
こういう席にいると、家族がどんどん増えていくことを実感する。
久しぶりにたくさん親戚に会えてよかったな。