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2017.05.09

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大統領選挙で荒れる、本日の韓国。
喧騒を避け、静かなカフェで本を読んで過ごした。

この歳になると、身内と政治思想が合わないことの切なさを思い知る。
まぁ、しょうがないんだけど。


ナラタージュ (角川文庫)

ナラタージュ (角川文庫)

今日読んだのは、島本理生さんの『ナラタージュ』。
言わずと知れた代表作で、映画も公開される。

個人的に、この作品は私の趣向とは合うわけではないけれど、それでも文字から放たれるエネルギーには圧倒される。
島本理生さんの「痛々しさ」「切実さ」「不安定さ」といった作風が、分かりやすく反映されていると思われる。

葉山先生のことも、小野くんのことも、私は彼らの弱さを許容することはできない。
彼・彼女の痛々しさは、そこに引っぱられすぎてつらくなる。
でも同時に、この弱さこそが魅力的に映って惹かれてしまうんだろうな、と悟ったように思った。


私はこの作品のような、心と身体が擦り切れるほどの恋をしたことがないが、読みながら過去の記憶に引っぱられていった。
いちばん最後にすきだった人は、清潔で一見安定した好青年だったのだけど、彼を知る過程でその実かなり不安定で繊細な人であることを知った。
私はそのことで幻滅をしなかったが、自分の弱さに敏感なのは彼自身で、彼はそれを許せずにいた。

今思うと、同じエネルギーの好意で返されなかったとしても、手を伸ばすような言葉をかけることができたのではなかっただろうか。
こんなことを思っても、あのときの私は自分の気持ちを扱うので精いっぱいで、結局自分のことしか見れてなかったんだろうな。

はっきりと言えるが、私はこのときの恋心に未練はない。
あまりにも気持ちのバランスが合わなかったし、見ていた方向もまるで違ったのが、はっきりとわかったからだ。

それでも、私が彼に惹かれていたことは紛れもない事実だし、それを肯定的に捉えられるような、そんな作品だった。
登場人物の自己陶酔っぷりを見ながら、過去の自分を思い出して赤面したくなる。
この作品が愛される理由もわかる。


なんだか、内面のことを詳細に書くことは慣れていたし抵抗もないけれど、恋愛に関して(ぼんやりとだけど)書くのは初めてで、文字を叩く指が少し躊躇してしまった。

私は自分でも惚れっぽい性格だという自覚があるんだけど、そんな私が1年以上「気になる異性」がいないのが新鮮だ。
生活に刺激やときめきがなくてつまらないなという気持ちもあるけど、そういう存在に引っぱられない時間も必要なのだろう。
まぁ頭でわかっていても、恋愛小説に触れると恋愛したくなる気持ちになるのだけど。
うん、気軽に待つよ。